身体表現性障害
身体表現性障害について
心理・社会的要因によって説明される障害
身体表現性障害とは、痛みや吐き気、しびれなどの自覚的な体の症状があり、日常生活を妨げられているものの、それを説明できるような身体疾患や何らかの薬物の影響、精神疾患などが認められず、むしろ心理・社会的要因によって説明されうる疾患のことです。
こういう人がなりやすい
身体表現性障害は、身体感覚に敏感で、物事を悲観的にとらえやすい繊細な方がなりやすいと言われます。30代以前の若い人の発症が多く、男性に比べて女性に圧倒的に多いとされています。
また、心身の過労(親の介護疲れや過重な残業など)や、身辺の環境変化(職場異動や引っ越し、近親者との死別など)がストレスの要因になっていることを認識しにくく、言葉で表現できないような方に、身体症状が表れることがあると言われます。
身体表現性障害の種類
現在使われている診断基準(アメリカ精神医学会が定めた診断の指針)では、下記の5つの疾患を身体表現性障害としてまとめています。
身体化障害
30歳以前に生じた痛みや胃腸症状など、さまざまな身体症状が何年にもわたって続くものの、適切な診察や検査を行っても身体的な病気や薬による影響では十分に症状を説明できないタイプ。
転換性障害
随意運動機能(歩く、立つ、しゃべるなど)と感覚機能(見る、聞くなど)についての症状や欠陥が生じるタイプ。症状または欠陥の始まりや悪化に先立って、ストレス因子が存在することが多い。
疼痛性障害
痛みを説明するのに十分なだけの身体的異常が無いにもかかわらず、重篤な痛みが続くタイプ。
心気症
身体に対する誤った解釈をしており、重病にかかっているのではないかという恐怖や考えにとりつかれてしまうタイプ。その恐怖感は、医学的に重病が否定されても持続する。
身体醜形(しゅうけい)障害
自分の外見に欠陥があると思い込み、過度に気にするタイプ。
身体表現性障害の治療
身体表現性障害は、精神療法や薬物療法、職場や家庭などの環境調整によって治療します。
精神療法では、その人がどんな問題を抱えているのか、不安感や抑うつ感に苦しんでいることにも配慮しながら、身体的な気がかりを丁寧にうかがい、ストレスの原因となっている環境を調整し、ストレス対処法を身につけていただくことを目指します。
また、精神疾患を合併している場合には、抗不安薬や睡眠薬などによる薬物療法が効果的だと言われています。