双極性障害(躁うつ病)

双極性障害(躁うつ病)について

「躁」と「うつ」の症状を繰り返す

うつ病では「うつ」症状だけが現れますが、双極性障害(躁うつ病)は「躁」と「うつ」の両方の症状を繰り返す精神疾患です。
双極性障害の原因は、まだ完全には解明されていません。
しかし様々な研究から、遺伝的要素、環境的要素、病前性格などが関係し合って起こるのではないかと考えられています。
また、双極性障害の約2/3の人が「うつ」から始まることもわかってきました。「うつ」だけを数回繰り返したのちに、ある日突然、「躁」になるタイプがあり、最初 は「うつ病」と思っていたのに、実際には双極性障害だったというケースも少なくないようです。

自殺の危険性が高い

「双極性障害」は、精神障害のなかでも非常に自殺の危険性が高い疾患です。自殺企図率は「うつ病」よりも「双極性障害」のほうが高いという報告があります。
躁うつ病では、「躁」から「うつ」に転じたタイミングが最も危険で、「躁」の時の自分の行動を思い返し、激しく自分を責めて自己破壊的な行動に走ってしまいがちです。
また、「躁」の症状と「うつ」の症状が同時期に入り混じって表れる「混合状態(気分は落ち込んでいるのに、焦る気持ちが生じて、じっとしていられない)」にある人も自殺率が高いと言われます。
また、「躁」の症状がひどい時には、本人に自覚が無いまま周囲に迷惑をかけることで、人間関係面での破綻が生じやすい病気です。

躁うつ病の治療

躁うつ病は、きちんと治療すれば改善できる病気です。基本的な治療としては、薬物療法と精神療法があります。

薬物療法

薬物療法では、気分安定薬を中心に、症状に応じて抗精神病薬、抗うつ薬、睡眠薬などを組み合わせて用います。

精神療法

精神療法には、心理教育、認知行動療法(考え方や物の捉え方、行動を変える)、対人関係療法、社会リズム療法(生活リズムの乱れを修正する)などがあります。
これらの治療法のなかから、患者さんに合った方法を選択したり、組み合わせたりします。